永訣の朝

昨晩から妹の熱が下がらない。高熱にあえぐ彼女のため窓を開けると、そこには仄明るい雪の森が広がっていた。
タイマン / 短編 / クローズド

DESCRIPTION概要

推奨人数|1人(KPとのタイマン)
推奨技能|目星、聞き耳
前提条件|探索者に妹(弟)がいること
注意事項|オリジナル神格が登場
以下ネタバレを含むKP向け情報です。

KP向け情報

INTRODUCTIONはじめに

エンドによってはキャンペーンシナリオ「カラヴィンカの婚礼」(作:あかねこ)を続けて回すことができます。 改変やアドリブなどは大歓迎ですので、遊びやすいようにしていただければ幸いです。

対象|20歳未満の妹または弟がいる探索者
長さ|短編(30分程度~ロールの長さによって変動)
形式|クローズド
ロスト|あり
発狂|発狂率低め

シナリオ規約 》

DEITIES登場神格・アーティファクト

登場神格|迦陵頻伽(かりょうびんか、カラヴィンカ)

上半身が人、下半身が鳥の想像上の生き物。雪山もしくは極楽浄土に住むとされる。
非常に美しい声を持ち、妙音鳥とも訳される。
今回は、美形の花婿ないし花嫁。真の姿を見た場合《SANチェック》→1/1D6

アーティファクト|比翼連理の器(ひよくれんりのうつわ)

カラヴィンカが婚礼の儀のため用意したいわゆる夫婦茶碗。白地に藍色で比翼連理を表す絵が描かれている。
夫になるものは妻の茶碗、妻になるものは夫の茶碗に盛られた食べ物を口にすることで婚約が成立する。

THE TRUTH真相

探索者の妹(または弟)は、不運にもカラヴィンカの花嫁に選ばれてしまう。カラヴィンカと結婚するということは、極楽浄土で暮らすことになるということであり、つまり婚約を結んでしまえば、妹弟はじきに死んでしまう。
探索者は、婚約の契りに必要な「比翼連理の器」を破壊し、妹弟とカラヴィンカのつながりを断たなければならない。

導入

冬の寒いある日のこと、探索者の妹(または弟)は昨晩から高熱を出して寝込んでいる。昨晩すでに医者にかかっており、ただの風邪だと診断された。今日は休日だが、それぞれの用事で家族が出払うため、探索者は夕方まで妹の看病を頼まれる。
母親は妹の容体について下記のように話す。

  • 熱が高いためか、話しかけてもぼんやりしている

  • 医者は風邪だと言ったが、熱が高く心配なので、帰ってくるまで見ていてほしい

母親は手短にそれだけを言うとバタバタとあわただしく家を出る。一人になり、静まり返った家の中、探索者は妹の様子を見に部屋へ向かう。

本編

ここから先どの時点でも、比翼連理の器を探索者が何らかの理由で割った場合、END3が確定する。

END3へ 》

SCENE 011-1:妹の部屋

いつもどおりの妹の部屋。窓とカーテン、ストーブさえあれば、家具は自由に決めて問題ない。プレイヤーに妹の性格や部屋の様子を聞いたりしつつ描写すると楽しい。
窓台あるいは窓際の床にカラヴィンカの茶碗(比翼連理の器)が転がっているが、入ってすぐには気づかない場所にあることにする。

妹の部屋のドアを開けると、湿気と熱に帯びた空気が流れ出てくる。ストーブがつけっぱなしになっており、暖まりきっているようだ。ストーブに乗ったヤカンがしゅんしゅん音を立てている。
また、昼間にもかかわらずカーテンはぴったりと閉じてある。
妹はベッドで毛布にくるまっている。探索者が部屋に入ってくると、「暑い」「窓を少し開けてほしい」と頼んでくる。

▽1-2:部屋の探索

窓の外

カーテンを開ければ以下のことに気づく。

窓の外は灰色である。妙に明るい曇天からみぞれが降り注ぎ、雪がうず高く積もっているのだ。いつの間に降ったのか、短時間でここまで積もるはずもなく、見慣れた街並みは見当たらない。松の木が視界の悪いみぞれの中にょきにょきと数本立っているだけだ。
自分の家だけが突然雪山の景色の中に取り残されたかのような、異様な状況に《SANチェック》→0/1

雪が積もっているためか家の中はしんと静まり返っており、ヤカンがたてる音以外には何も聞こえないようだ。しかし時折、どこからか微かに耳に心地いい音が聴こえる気がする。
ここから先、《聞き耳》を振って成功するたび、窓の外から微かに歌声のようなものが聴こえる。詳細は「2-1:雪集め」を参照のこと。

窓を開ける

外から冷たく清浄な空気が入ってくる。あまり大きく開けようとすると妹が「少しだけでいい」などと言って嫌がる。また細く開けていても、開けてから少し経つと、もう大丈夫だから閉めてほしいと頼んでくる。

妹に《心理学》

窓あるいは窓の外に、少し怯えているようだとわかる。

理由について聞くなら「1-3:妹と会話」の「窓を閉めたい理由~」を参照のこと。

見慣れない茶碗

《目星》か、カーテンを開けることで発見できる。

窓台にちょこんと置いてある。または窓台がないタイプなら窓際の床の物陰に落ちている。白地に青で、少し変わった形の木と、寄り添って飛ぶ二羽の鳥のようなものが描かれている。

茶碗に《目星》→フチが少し欠けており、底の方までまっすぐヒビが入ってしまっていることに気づく。

文学に造詣が深い探索者や、ある程度の学問を修めている探索者である場合→《知識》に成功で以下のことがわかる。

この茶碗の絵は「比翼の鳥、連理の枝」を表しているものではないかと思う。言葉の意味も理解できてよい。

「比翼の鳥、連理の枝」とは

「比翼の鳥」とは想像上の生き物。雄と雌がそれぞれ目と翼が一つずつあり、常に一体になって飛ぶという。
「連理の枝」とは根元が別々の二本の木で、枝や幹が途中でくっつき木理が連なったもののこと。
これらを組み合わせて「比翼連理」といい、男女の深い契りのことを例えていう。

※引用:故事ことわざ辞典

KP向け情報:

これはカラヴィンカが置いた比翼連理の器で、妻用のもの。(寝ているのが妹でなく弟なら、夫用の茶碗になる)カラヴィンカがこの茶碗から食物を口にした際、身につけている装飾品で傷をつけてしまい、ヒビが入った。

▽1-3:妹と会話

基本的にぼんやりしており、”KPが話してもよいと思うこと”と、後述する”妹の言動”以外のことについては「わからない」「そうだったかも」というような的を得ない返事しかしない。
理解できるかできないかくらいのラインでぼんやり話すとよい。

窓の外で雪が降っていることを教えるなどすると「取ってきてほしい」とねだられ、次の段階へ進む。カーテンを開けた段階で妹から「何を見てるの」と聞くとスムーズかもしれない。


具合について聞く

「熱い」「でも寒い」など、熱があるときによく出る症状があるようだ。風邪のようだが、体調はかなり悪く、動くとしても上体を起こすのがやっとである。

雪について聞く

妹は雪が降っていることを知らなかった様子だ。真実なので《心理学》を振っても同様。以下のように話し、雪を持ってきてほしいとせがむ。

  • 寝ていたので降っていることに気づかなかった

  • 見たい(起き上がれないため、窓辺に連れていくことは難しそうだ)

  • 雪を拾ってきて見せてほしい

  • 積もったばかりの白い雪がいい

窓を閉めたい理由や、カーテンが閉じていたことについて聞く、など

窓を大きく開けたり、あまり長く開けたままにしたりすると嫌がる。理由を聞いた場合以下のことを順不同で話す。

  • 窓の外から誰かに見られていた気がする

  • 夢で、とても綺麗な鳥を見た。虹色で大きかった

  • 人がいる気がして、怖くて母にカーテンを閉めてもらった

  • 母が来る前に、部屋に”誰か”いた気がする

※招かれざる客であるカラヴィンカは家の中へは入れず、窓の外から器だけを窓辺に置いていった。

窓を開けたまま部屋を出ようとする

「閉めてほしい」と妹が頼んでくる。無視して部屋を出た場合、開いている窓から招かれたカラヴィンカが直接妹を迎えに来るため、その時点でEND1が確定する。もう少し情けをかけたいなら、カラヴィンカがやってくる前に部屋に戻れるかどうか、《幸運》などを振らせてもよい。

END1へ 》

茶碗や、聞こえてくる歌声など、ここまでに書かれていないことについて聞く

妹はそれらについて何も知らないので、わからないと答える。疑い深い探索者は彼女が本当に自分の妹なのかどうかを疑うかもしれないが、そこは真実なので妹との思い出や親の名前などを聞いてきた場合は普通に答えられてよい。

SCENE 022-1:雪集め

妹が雪を持ってきてほしいとせがむので、集めに行くことになる。
みぞれはいまだやむ気配がない。窓べりや地面に積もっている雪では、水や泥を含んで汚れてしまっているだろう。

KP向け情報:雪を持って帰るためには条件があり、ただ雪を持って帰っても妹の部屋に入ったとたんに溶けてしまう。条件は、”外に落ちている夫用(弟の場合は妻用)の茶碗”に”水や泥などの入っていない、白い綺麗な雪”を集めることだ。

詳細は「2-3:雪を持って帰る」参照のこと。

カラヴィンカの声

部屋の中で《聞き耳》をした場合

成功で、外からかすかに歌声のようなものを聞く。声ではなく楽器ではないかと一瞬思ってしまったほど美しい音だ。静かすぎるこの空間にこの世ならざる者の気配を感じ取り、《SANチェック》0/1d2。

窓を開けたり、外に出たりした場合KPの指示で《聞き耳》を振らせる

成功で、妹の部屋にほど近いところに生えている松の木のあたりから、この世のものとも思えぬほど美しい歌声のような音を聞く。
初めて声を聞く場合、この世ならざる者の気配に恐れを抱き、《SANチェック》0/1d2。

▽2-2:外の探索

先ほど部屋の中から見た通り、家の周囲には建物などの人工物は見られない。見ての通り雪山といった場所に自分の家だけが建っている。視界はあまり良くなく、数十メートル先からは霞んでいる。

外で《目星》

松の木の、下の方の枝には白いふわふわの雪が積もっていることに気づく。どうやら上の枝の影になっているため、みぞれにさらされずに済んでいるようだ。
また、妹の部屋の窓近くに建っている松の木の根元に、この景色に似つかわしくない虹色に輝く何かが落ちているのを見つける。

※雪に関する情報は、《目星》に失敗した場合《アイディア》成功でも得られる。または、プレイヤーが「綺麗な雪はどこかにないか」と聞いた場合に、自動成功で情報を渡してもよい。

虹色に輝くもの

近寄ったならば、《目星》に失敗していても松の木の根元に「虹色に輝く大きな羽」と「茶碗」が落ちているのを発見できる。

虹色に輝く大きな羽

不思議な輝きを放つ羽根。両手に乗るほどの大きさ。

羽根に《生物学》

探索者が知る限り、このような妙な輝き方をする羽根の鳥はこれまでのところ知られていない。また羽根の大きさからして、その体長もかなり大きな鳥…およそ人と同じくらいの大きさであろうということに思い至る。

茶碗

妹の部屋で見つけた茶碗と同じ柄が描かれている。妹の部屋で見つけていなかった場合、茶碗の絵柄に対しての《知識》などはここで振れる。詳細は「1-3:妹と会話」参照のこと。
ただし、この茶碗に欠けやヒビは入っていない。

KP向け情報:比翼連理の器、夫用(弟の場合は妻用)。妹の部屋にある茶碗と対になるもの。夫婦茶碗の夫用なので、妹の部屋にあるものより一回り大きい。(弟の場合は妻用なので一回り小さい)

▽2-3:雪を持って帰る

正しい条件が揃っていない場合、集めた雪は妹の部屋に入ったとたんに溶けてしまう。条件は下記の通り。
正しい条件で雪を持ち帰り、妹に見せると、次の段階に進む。

成功条件

松の木から集めた白い綺麗な雪を集める
外に落ちていた夫用の夫婦茶碗に集める

失敗の例

地面など、みぞれにさらされている雪を集める
正しい器以外の容器に雪を集める

※妹の部屋にある茶碗に集めても溶けてしまう

SCENE 033-1:妹と雪

雪を持ち帰ると、妹は喜んで「見せて」とせがむ。

KP向け情報:雪は、比翼連理の器に盛られた時点で「天の食」となっている。器に盛られた雪を妹が口にすると、カラヴィンカと夫婦茶碗で食を交わしたことになり、カラヴィンカとの婚約が成立する。

このシナリオをキャンペーンシナリオの導入と考えるなら食べさせてしまってよいが、探索者がこのシナリオでのベストエンドを望んで行動しているなら、嫌な予感がする《アイディア》や器を落としてしまわないかの《幸運》などで思いとどまらせるチャンスを与えてもよい。

器に盛られた雪に《目星》

一瞬だけ、雪がキラキラと淡く輝いたように見える。

器を妹に渡す

妹に渡してしまった時点でEND2が確定する。

END2へ 》

エンディング

END 01END1 「親不孝者」

妹の頼みを無視し、窓を開けたまま妹の部屋を出た場合このエンドを迎える。

妹の部屋を出て何をするか、探索者に聞いておく。探索者がそれをしていると、窓を大きな何かの影が横切った。妹の部屋の方向へ飛んでいったようだ。
慌てて妹の部屋のドアを開けると、部屋はもぬけの殻だ。外から、歌うように妹の名を呼ぶ、この世のものとも思えぬ美しい声が響いてくる。開け放した窓からみぞれが吹き込み、カーテンが踊っているが、足を踏み入れた拍子にぴたりとやむ。窓の外はいつも通りの風景だった。
妹が寝ていたベッドの上に、虹色に輝く大きな鳥の羽が1枚残されている。妹は行方不明者として扱われ、戻ってくることはない。

その夜、色とりどりのきらびやかな衣を身にまとった、美しい男が探索者の夢に現れる。男の隣には白無垢を纏い、化粧をした妹が目を伏せて座っている。男が口を開くと、あの雪山で聞いた美しい声が響いた。「○○(妹の名前)様をお迎えにあがりました。こちらで健やかに過ごしております故、安んじてお待ちください」
それだけ言うと男と妹はそろって深々と頭を下げる。

バッドエンド1。開いている窓から招かれたカラヴィンカが直接妹を迎えに来て、連れて行ってしまう。窓台に置かれていた茶碗はなくなっている。
妹の死がいつかはKPの裁量で決めてよい。ただし20歳になる前には死んでしまう。
妹の死に際し、自分がそのきっかけを作ってしまったことによる1/1d4のSANチェックを行う。

救済シナリオをベストエンドでクリアすれば、妹を取り戻すことが可能。

END 02END2 「天上のアイスクリーム」

妹に雪を集めた比翼連理の器を渡した場合、このエンドを迎える。

妹は茶碗を受け取ると、ごく自然な動作で盛られた雪のてっぺんに口をつける。止める間もなく口の中で溶けた雪を飲み込んでしまったようだ。「甘い」と妹は呟き、探索者に向かって幸福そうに笑った。
突然窓が開き、みぞれが室内に吹き込んでくる。突然のことに顔を覆った探索者は、外から歌うように妹の名を呼ぶ、この世のものとも思えぬ美しい声が響いてくるのを聞く。
気が付いた時には窓は元通りに閉じられており、室内も荒れた様子はない。静かな部屋から見える窓の外は、いつも通りの風景だった。

その夜、色とりどりのきらびやかな衣を身にまとった、美しい男が探索者の夢に現れる。男の隣には白無垢を纏い、化粧をした妹が目を伏せて座っている。男が口を開くと、あの雪山で聞いた美しい声が響いた。「時が満ちるころ、○○(妹の名前)様をお迎えにあがります故」
それだけ言うと男と妹はそろって深々と頭を下げる。
悪夢で目覚めた探索者は、次の朝、全快した妹の枕元にぽつんと置かれている夫婦茶碗を見る。欠けていたはずのそれは、ヒビに沿ってきちんと金継ぎがされていた。

バッドエンド2。カラヴィンカとの婚約が成立してしまい、妹はじきに亡くなってしまう。(マイナスクーポン「カラヴィンカとの婚約」)
妹の死がいつかはKPの裁量で決めてよい。ただし20歳になる前には死んでしまう。
妹の死に際し、自分がそのきっかけを作ってしまったことによる1/1d4のSANチェックを行う。

極楽浄土に向かうため、悲劇的な死に方をするよりは、またある時に一晩熱を出したと思ったら、そのまま静かに亡くなってしまうなどがよかろうもんと思われます。(作者の好みです / あとがきに参考を載せておきます) 婚約成立後は、器を割ろうとしてもふしぎなちからで元の金継ぎされた状態に戻ります。

救済シナリオをベストエンドでクリアすれば、妹を取り戻すことが可能。

END 03END3 「婚約破棄」

いかなる理由でも、比翼連理の器を割った場合、このエンドを迎える。

器はカシャンと軽い音を立ててあっけなく割れる。破片はまるで雪のように形を崩し、あっという間に溶けたかと思うと、そのまま床に吸い込まれるように消えてしまった。窓の外を見ると先ほどまでの雪景色ではなく、いつも通りの風景がある。
妹はやはり熱で寝込んでいるが、朝より熱は下がったようだ。あの出来事は一体何だったのか、妹のうわごとにつられて見た夢だとでも思うかもしれない。

シナリオクリア。一応ベストエンド。

このエンドの場合、カラヴィンカとの婚約は破棄されたため、救済シナリオを回すことはできません。
妹は普通に風邪なので、そのうち治ります。虹色の鳥のことは覚えていないでしょう。

END 04END4 「身代わり入籍」

もしかするともしかして、妹でなく探索者自身が比翼連理の器に集めた雪を食べてしまった場合のエンド。探索者が20歳以上である場合はEND5へ。

探索者自身が20歳未満の場合、妹の代わりに探索者がカラヴィンカとの婚約の契りを結んだことになる。ちなみにカラヴィンカは神話生物なので相手の性別などはたぶん大した問題ではないでしょう。

雪を口に含んだ瞬間、まるでアイスクリームのように優しく甘い味が口に広がり、気づいたときにはそのまま嚥下し胃へと落としてしまっていた。しかし気味の悪さは感じず、そのおいしさに幸福感が腹の底から湧き上がってくるようだ。
探索者は寝込む妹を看病し、普段通りに過ごした後、眠りにつく。
気づくと白無垢(男性である場合は紋付き袴)に袖を通し、妹と向かい合って座っている。自分の隣には見たことのない美しい男が、煌びやかな衣を身に纏って何事か話しているようだ。探索者は話の内容を理解するより、その音の美しさに聞き惚れてしまう。

探索者ロスト。いつ死ぬかはKPが決めてよい。
この場合、望むのであれば妹が救済シナリオで探索者を救うことになる。

END 05END5 「なかったことに」

もしかするともしかして、妹でなく探索者自身が比翼連理の器に集めた雪を食べてしまった場合のエンドその2。探索者が20歳以上である場合このエンドを迎える。

雪を口に含んだ瞬間、まるでアイスクリームのように優しく甘い味が口に広がり、気づいたときには飲み込んでしまっていた。
そのとき、手の中の器がカシャンと音を立て、ひとりでに割れてしまう。器の破片はまるで雪のように溶けていったかと思うと、集めた雪もろともあっという間に蒸発してしまった。
気が付くと窓の外はいつも通りの風景である。妹はやはり熱で寝込んでいるが、朝より熱は下がったようだ。あの出来事は一体何だったのか、妹のうわごとにつられて見た夢だとでも思うかもしれない。

婚約はなかったことになり、妹もただの風邪だ。二人とも平穏な日常へ戻ることができるだろう。

シナリオクリア報酬

▼共通

カラヴィンカの真の姿を見ていた場合、クトゥルフ神話技能に+1%する。

END1、END2

SAN値回復なし

END3、END5

シナリオクリア、または天上のアイスクリームを食べたことにより1d2のSAN値回復ボーナス。

END4

天上のアイスクリームを食べたことにより1d2のSAN値回復ボーナス。
ただし、探索者は予定ロスト。

あとがき

2017/3/16:シナリオ公開
2021/5/25:加筆修正、再公開

最初に作ったシナリオだったと思います。ギミックも拙くて恥ずかしいですがキャンペーンの「カラヴィンカの婚礼」はたいへん面白いシナリオなので是非合わせて遊んでいただければ幸いです。
卓面子の一人がこのシナリオで妹を亡くしたので、卓の中ではいまだに思い出深いシナリオです。

参考

永訣の朝(青空文庫)

※「永訣の朝」でページ内検索
シナリオ元の詩が載っています。描写が美しいので参考にどうぞ。

わたくしどもは(青空文庫)

※「わたくしどもは」でページ内検索

そしてその冬
妻は何の苦しみといふのでもなく
萎れるやうに崩れるやうに一日病んで没くなりました

シナリオには直接関係ありませんが、詩の最後の上記の描写が、探索者の妹が亡くなるときのイメージに近いので載せました。

AUTHOR

近々@chika_djed

ちかちかです。感想・ご質問等、TwitterDMまたはマシュマロまでいただけますと喜びます! 拙いシナリオですが楽しんでいただければ幸いです。

Twitter mashumaro

AUTHOR

あかねこ@RedAkanekoCat

トレーラー画像作成

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